おなかとおしりブログ

排便の時に出血したら、どうする?

診断について2022.04.05

排便の時に出血した経験はありますか?
 ご経験のある方は、初めて血を見た時、かなり驚かれたのではないでしょうか?

当院では年間約2000人の方が、排便時出血の症状で来院されます。
 大腸癌の不安を感じている方もいますし、過去の経験からご自分で痔だと判断されている方もいます。
 また出血にも、肛門の痛みや腫れを伴う場合や、痛みはなく便に血が混ざっていた、強い腹痛を感じて真っ赤な下痢が出た、かなり前から軽い腹痛と下痢、粘液や血液などが出てくるなど、さまざまなケースがあります。

実際には排便時出血の90%以上が痔疾患が原因であり、深刻な病気は非常に少ないものです。
 排便時出血の原因で多い病気(私の経験上)をいくつか紹介します。

・内痔核(イボ痔)
 痛覚の届いていない奥に存在するため、通常はほとんど痛みを伴いません。
 大きく腫れたり、腫れが原因で外側近くが傷ついたりすると痛むこともあります。

・裂肛(切れ痔)
 肛門のすぐ内側で皮膚と粘膜の移行する部分が切れてしまうため、ほとんど場合、痛みがあります。
 切れた直後の急性裂肛の状態と、何度も同じ場所の傷を繰り返した結果、治りにくい傷となる慢性裂肛という状態があります。
 便秘で硬い便になる方に多い現象です。

ここまでの二つが圧倒的に高率で、以下のものは稀と言えます。

・虚血性腸炎
 突然の腹痛と下痢が始まり、直後から真っ赤な血や、赤黒い血の塊が出る状態が何度か続く、という例が多いです。
 大腸近くの動脈が詰まり血流が途絶えることで(虚血)、部分的に大腸の粘膜が壊死する(ひどくただれる)ことが原因です。
 症状は強く急激に起こるため、びっくりしてしまいますが、通常は数日食事を抑えて時間が経過すれば治ってしまう病気です。
 便秘がちの女性に比較的多く、高齢の方に起きやすいですが、40代くらいの女性に起きることもしばしば経験します。

・大腸憩室出血
 大腸の壁の一部が薄くなり外側に向かって小部屋のように膨らんだ部分を憩室と呼びます。憩室は年齢に関係なく出現する現象です。
 この憩室が傷ついて出血をすることがありますが、なかなか止まりづらく、大量出血で入院治療が必要となることもあります。
 体の組織が弱くなってしまった高齢の方に起きることがほとんどです。
 あまり腹痛はなく、何度も下痢のような出血が続きます。

・潰瘍性大腸炎
 10代くらいの若い方にも発症する可能性があり、慢性的な腹痛や下痢に粘液や血液を伴うのが特徴的な症状です。
 症状が似ている病気に過敏性腸症候群がありますが、過敏性腸症候群の場合、切れ痔などを併発していなければ出血はしません。
 国指定の難病ですが、最近患者数が増加しており、あまり珍しい病気ではなくなりました。

・大腸癌
 当然ながらもっとも怖い病気ですが、通常大腸癌はかなり進行しないと症状が出ません。
 典型的な症状がないだけに逆に怖いとも言えますが、疫学的には少ない病気です。
 経験的には45歳以上であること、大腸癌家族歴があることはリスクファクターと考えます。
 「年齢階級別罹患率 大腸癌」で検索すると全国集計のデータが閲覧できます。

・その他
 出血性大腸炎(細菌性) クローン病などの炎症性腸疾患 子宮内膜症大腸浸潤 など

排便時に出血したら、しかも症状が続く場合、まず外来を受診して相談することをお勧めします。
 多くの方は怖い病気が原因ではありません。

当院ではまず状況を聞き、必要があれば肛門から直腸下部にかけての簡単な診察をします。
 明らかな出血の原因となる痔の病気があり、状況から他の病気の可能性が高くないと判断した場合、まず薬の治療で経過をみるようにお伝えしています。
 それでも症状が続く時は大腸カメラなどの相談をします。
 過去の病歴や、現在の持病、家族歴、年齢などを考慮し、検査の必要性が高い方には、すぐに検査を進めるケースもあります。

医療機関の中には、年齢も状況も関係なく、出血した=大腸カメラというところもありますが、私は疑問を感じます。
 経験に基づく推測診断で、不必要な検査を避けることも医師の役目だと考えています。
 排便時に出血したら、まず当院で相談してください。

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